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(陰惨な虐待ミステリです。しかし終盤まであまりゆっくりが登場しません) ゆっくり探偵マモル file 1 --主なきおぼうし-- 作 YT 幻想郷に生まれた不思議生物ゆっくり その味わいと性格は多くの悪を呼び寄せる か弱いゆっくりを悪の手から守るのだ ゆけ、ぼくらのゆっくり探偵マモル! ばあん! と叩きつけるように観音開きの扉を開け、室内に踏み込んだ。 幡中守、それが私の名だ。 ハタナカマモルと読むが、別の読み方をしてくれても構わない。 それは私にふさわしい読みだろうから。 私はゆっくり探偵。ゆっくりに関わる犯罪を解決する者。 足を踏み入れたのは、奇怪な広い部屋だ。 どっしりした長机の上に、実験道具がたくさん載っている。 鈍い光をたたえるビーカー、フラスコ、蒸留器、ランプ。 そういったガラス器具の間には、鋭く輝くステンレスの刃物が見え隠れする。 化学者の研究室のようだ。しかしそうではないことを私は直感する。 肩に乗せた相棒も、同じことを感じたようだ。 「わかるよー、ゆっくりのにおいがするよー!」 緑の帽子に二本のしっぽ。私の助手はゆっくりちぇんだ。 ちぇんの言葉を聞いて、私は叫んだ。 「出てこい、サカタ! いるのはわかってるぞ!」 しばらくすると、薄暗い部屋の奥から黒々とした人影が現れた。 ひとくちに虐待派と言ってもそれぞれの格がある――と言ったら、心ある人たちは眉をひそめるかもしれない。 しかし、今私の前に姿を現したこの男、逆田イズルは、風格と呼んで差し支えのない何かを身にまとっていた。 「大声を出すな……聞こえている」 逆田は響きのいい声で物憂げにそう言って、五歩ほど先で足を止めた。 アールデコ風の高い窓からさす日光が、彼にかかりそうでかからない。 長身で貴族的な容貌を持つ彼は、革の黒マントの裾を軽く払って、幽玄な微笑を浮かべた。 「久しいな、幡中。元気でやっていたか」 「ごまかすな、前に会ってから半年もたっていないぞ」 「そうか? すまんな、何分忙しい」 そう言うと逆田はぐるりと陽光を避けて、広間の隅にある応接所へ足を向けた。 そちらは暗い。私は明るい場所に立ったまま、彼に言う。 「私がなぜここに来たか、わかっているだろうな」 「さてね」 「とぼけるな! 情報を握っているんだ。貴様、また虐待商売に手を染めたな?」 「またとはなんだ、またとは」 広間の奥の暗がりで彼が手を動かすと、じゅるじゅるっ、と粘性の音がした。 蒸留器を思わせるガラス器具の中で、褐色の液体が激しく動いたのだ。 私がぎくりと驚くと、逆田は梅雨時の弱い風を思わせる声で笑う。 「ふふふ、コーヒーだ。飲むか?」 「……けっこうだ。またとは言うまでもないだろう、貴様は以前にも細切れにしたゆっくりありすを密輸しようとした」 「あれは私と関わりのない他人の仕業だと判明したはずだ」 「この屋敷に五回も来た男のことを他人だと? 判事はだませても私はだまされんよ」 「相変わらず手厳しいな」 逆田は暗い笑いを漂わせている。その間に、私は室内をさらに注意して見回した。 そして、あるひとつの品物に目を留めると、逆田に手を出される前に、一気にその品へと近づいた。 その品とは――テーブルの上に置かれた、黒い三角帽子だ。 「これはなんだ、逆田!」 するとそのとき、横手の扉が大きく開いて、五、六人の黒服がいっせいに現れ、私と逆田の間を遮断した。 私のちぇんが敵意もあらわに叫ぶ。 「わかるよー、ぼでぃーがーどだねー! ずるいよー!」 「はっはっは、おまえの彼女は健気だな」 人壁の後ろから逆田の声が聞こえる。私は鋭く声をかける。 「やましいことがあるのか、逆田!」 「おまえが紛らわしい動きをするからだ。もっとそうっと歩いてくれ、デリケートな器具がたくさんあるのだから」 そう言うと、逆田は例の黒帽子を、その台座ごと、そっと手に取った。 「たとえば――これのように」 「ゆっくりまりさのお帽子だな!?」 「そう気負いこむな。大人しくするなら、だんだんと話してやるから」 坂田はそう言って、ボディーガードの端にいたスカートスーツとサングラスの女の肩を叩いた。 「尾根井、下がってろ」 「はっ……」 驚いたことに、その女がリーダーだったらしい。彼女の小さな仕草一つで、大男たちが扉の向こうへ戻っていった。 最後に尾根井と呼ばれた女が一礼して消えると、逆田が招いた。 「まあ座れ」 「犯罪者の誘いには乗らん」 「犯罪なものか。おまえはこれが虐待の証拠だと思っているんだろう?」 逆田は指先に帽子をかけて、くるくると回した。私は眉をひそめる。 「それはまりさの帽子だ。その先の折れ具合、周囲についたフリル」 「早とちりだな。これは確かにまりさの帽子だが、犯罪性は何もないよ。 というのは、これの持ち主はまだ生きており、しかもいないからだ」 「……なんだと? どういうことだ?」 私が聞くと、逆田は三日月のような笑みを浮かべた。 「座れ。最後のすすめだ」 「……」 私は肩のちぇんと目を合わせ、うなずいた。ここで断れば、今度こそ黒服たちの世話になるのだろう。 私は足を進め、応接所の革張りのソファに腰を下ろした。 実験器具か拷問器具かわからぬガラクタが、ところ狭しと積まれた一画だ。 壁には石組みの暖炉、その上に一抱えほどの据付金庫。 一帯に濃厚な餡の匂いが漂っているような気がするのは、私の錯覚だろうか。 頭を振って、向かいの窓の外を見た。 明るい庭園の風景と大きな倉庫が目に入った。 対面に座った逆田が、カップに紅茶を入れて押してよこした。 私は無視した。 「それで? これのどこが虐待ではないと?」 応接テーブルに伸ばした手が、空を切る。帽子は逆田の手に戻った。 後にはチェス盤のような、帽子の台が残された。なんのつもりか、数十個の同心円が書かれている。 「さわらないでいただきたい。これは貴重な品物なのだから」 「特別な品なのか」 「そうだとも」 「一体どんな?」 「説明してやってもいい。しかしその前に一つ聞きたい。おまえは――」 フ、と妖しい笑みを浮かべて逆田は問う。 「まりさの帽子について、何を知っている?」 「なにを、だと?」 私はゆっくり探偵。ゆっくりのことには精通している。淀みなく答えた。 「まりさの帽子は彼女らのトレードマークだ。 それは防水具であり、防寒具であり、荷物入れであり、 ステータスシンボルであり、川を渡る船であり、 一部のゆっくりにとっては個体を見分ける手がかりでもある。 彼女らは生まれたときからそれを備えていて、帽子とともに成長する。 彼女らは帽子を何よりも大切にし、それが失われることを手足の喪失のように恐れる……」 私は逆田に強い視線を注いだ。 「それが単体でここにある。持ち主のゆっくりが苦痛を受けていないわけがない」 「すばらしい。百点満点だ」 パチ・パチ・パチ、と逆田は気のない拍手をした。 それから言った。 「だが今の説明に抜けていることがある」 「抜けていることだと?」 「それは、まりさの帽子が成長する原理だ」 私は虚を突かれて、沈黙した。 すると逆田は楽しそうな含み笑いを漏らした。 「なに、恥に思うことはないよ。それを解き明かした人間はいまだにいない。 かくいう私も知りはしない。だからやっぱり、君の説明は百点だ」 「回りくどいぞ」 「必要な前置きなのでな。さて、私は帽子の成長原理を知らない。 しかし、それに関係のある一つの貴重な発見を成し遂げた。 その手がかりとなったのが、この帽子だ。 私はこれを、村のさる少年から譲り受けた。後で君にも確かめてほしいが、彼は道で拾ったと言っていた」 帽子を抱えて逆田は言ったが、彼の次の言葉に私は衝撃を受けた。 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 「そのときこの帽子は、直径わずか三センチだった」 「……なんだと?」 逆田は手の帽子をくるくる回す。そのつばはどう見ても差し渡し三十センチはある。 「まりさは?」 「いなかった」 「なぜ? どこに?」 「どこでもいい。それはこの話の要点ではない。大切なのは、帽子がそれ単体でも成長し続けたということだ」 「単体で!?」 驚く私に、逆田は愉快そうな微笑を送る。 「そうだ。私はこの帽子を受け取ってから、何の気なしに放り出しておいたが、 数時間後にちょっとした工作で円を書く必要ができて、たまたまそばにあった帽子をコンパス代わりに使った。 一週間ほどたって、また同じ工作を始めたとき、帽子の直径が異なることに気づいた。 それで私は興味を持ち、週に一回、帽子の大きさを書き留めることにしたのだ。 それを正確に模写したのが――これだ」 逆田は、チェス盤のような台を指差した。 同心円の描かれた板を。 中心に、硬貨ぐらいの円があり、数ミリ外側に、ほんの少し大きな円が描かれている。 年輪のように連なり続ける円の最も外側を、三十センチを越える円が囲んでいた。 私は、顔を上げた。 逆田が待っていたように手を伸ばし、台に帽子を置いた。 帽子のつばの輪郭が、外周の円にぴったり一致した。 「わかるかね?」 「それは……つまり、どこかで成長しているまりさの栄養なり魔力なりが、この帽子に伝達され続けているということか!」 「その想像は真実に近いだろうね。私が発見したというのはそのことだ。 すなわち、まりさの帽子は離れたところでも何らかの方法で持ち主とつながっている」 「持ち主が生きているのは間違いないのか?」 「死んだまりさの帽子はただちに萎れてしまうよ。君だって見たことがあるだろう」 「……確かに」 私は舌を巻いてうなずいた。 ゆっくりまりさが死ぬ――悲鳴を上げながら無残に潰れ腐る――すると、不思議なことにその黒い帽子もぐずぐずと崩れてしまう。 ゆっくりと実地に付き合っている者なら、誰でも知っていることだ。 そのとき私は、ふとおかしなことに気づいた。 「それは確かに興味深い発見かもしれないが、貴重なことなのか? まりさを飼って、帽子を取り上げれば、誰でも観察できることじゃないか」 「君もなかなか言う男だな。素質があるのかな? ん?」 言われた私は、口を閉じた。肩のちぇんが、むっとした調子で言い返した。 「ちぇんのごしゅじんさまはゆっくりさせてくれるよー! ぎゃくたいなんかしないよー!」 「いや、いい、ちぇん」 私は手で彼女を押しとどめた。確かに今のは反省を要する発言だった。 虐待者に隙を見せるようなことを言うべきではない。 「質問に答えろ、逆田」 「ずいぶんな態度だな、え?」 逆田は少しく気分を害したていで顎を突き出す。私は冷ややかに見つめ返した。 「他にいくらでもある手段を取らず、私は一人でここへ来てるんだ。手加減していると思ってほしいね」 「……ふん」 不機嫌そうに鼻を鳴らしたものの、薀蓄を続ける誘惑は強かったらしい。 しばらくして、逆田は何事もなかったように話を再開した。 「誰でも観察できる、か――確かにそうかもしれん。 だが、この帽子の価値は、まりさと連動しているということにあるのではないのだよ。 そのまりさが行方不明だということにあるんだ」 逆田の声に、不穏な熱がこもった。私は身構える。 「どういうことだ」 「想像してみたまえ。この持ち主のまりさは、今どんな姿をしている?」 「それはもちろん、帽子なしの姿だ」 「そうだ。そして帽子なしまりさは、自然状態では仲間たちからどんな扱いを受ける?」 「……」 「虐待される。よくて追放だ。彼女ら流に言えば、きわめて『ゆっくりできない』仕打ちを受ける。 加えて、まりさは、身分証明として以上に、まりさ的存在の根幹を支えるものとして、帽子を必要とする。 それが、ない。ないのだ。かの豊かな金髪を守り聳え誇るべき帽子、それなしで持ち主は暮らしているのだ! どんな生活だろう? 想像できるかね? 想像してみたまえよ!」 逆田の顔に歓喜が浮かぶ。それをおぞましく思いつつも、私は想像してしまう。 にぎやかな仲間たちから離れ、森の片隅をみじめに彷徨しながら、たえず涙をこぼし続けるまりさを……。 その想像は、綿々と続く逆田の口上で、さらに強められる。 「いいかね、私はこの帽子が三センチの時に人から受け取った。 三センチといえば、まりさはまだ幼生、いわゆる赤ゆっくりだ。 愛くるしく無邪気で、世界に幸福と希望があふれることを信じて、舌足らずなおしゃべりをしている。 そんな赤まりさが、突如として宝物を奪われた――どうだね? わかるかね? 驚愕! 悲鳴! 哀願! そして不幸が始まるよ。母親にさえ冷遇される、おそろしい孤独が。 それがだよ!」 手を大きく振り、胸を押さえて、逆田は熱弁を振るう。 「いつまで続く? いつまで続いた? そうだ、それはここに記されている。この台に。 数えたまえ、数えたまえよ。円はいくつあるかね? 三十? 四十? 五十二本だよ。五十二週間にわたってこの帽子は成長し続けているんだよ。わかるかね? 一年だ! 帽子なしの出来損ないまりさが、一年生きている! 一体どれほどの困苦、どれほどの悲嘆を受け止めているのだろうね? 耐え忍んでいるのだろうね? 涙の流れぬ夜はなかったのではなかろうかね!」 テーブルの上で静かに佇立している、立派な三角帽子。 その影に、持ち主のなみなみならぬ悲哀が見える。 胸苦しく、吐き気がした。 「最低だな……そんな想像をして喜ぶなんて」 「個人的嗜好についてどうこう言われる筋合いはないね」 にべもなく言い放ち、逆田は挑発的な笑みを浮かべる。 「それとも、ゆっくりの不幸を妄想した廉で、私を告発するかね」 「……」 私は答えない。答えられない。 逆田の話が真実ならば、この男に責任はないからだ。 この世界のどこかに、実際に一匹の不幸なゆっくりまりさがいる。 そして、私の目の前にいる男が、そのまりさの不幸をことほぎ、吸血鬼のようにすすっている。 けれども罪は問えない。その不幸をこの男が生み出したわけではないゆえに。 「この帽子の価値は」 逆田はうやうやしく帽子を捧げ持ち、この世の邪悪を凝縮したような嘲笑を浮かべた。 「ここにある。野生まりさの苦悩に。普通の飼いゆっくりの帽子ではこうはいかない。 まりさの不幸を知ることができないからこそ、妄想の役に立ち、商品になるのだ」 そのとき私は思った。たとえ罪を問えないとしても、一矢を報いてやろうと――。 と、どうしたわけか、私の肩から丸いものが勢いよく逆田に飛びかかった。 「ゆゆゆゆ、ゆるさないよー! まりさがかわいそうだよー!」 「ちぇん!」 私の助手は帽子に飛びつき、奪い取った。ぴょんぴょんと戻って、私の背後に隠れる。 その目に涙がにじみ、怒りにしっぽが逆立っている。 「おにーさん、こいつをゆっくりつかまえてね! ちぇんはこんなやつ、しぬまでわからないよー!」 「――逆田」 私はひたと逆田に目を据えて言った。 「貴様に本当にやましいところがないというなら、家の中を調べさせてくれ。 もしや、持ち主のまりさを監禁していたりしまいな? たとえばそこの金庫の中に――」 私が壁にある四十センチ四方ほどの金庫を指差した時、逆田の顔がこわばったような気がした。 そのとき、背後でゴボッと不気味な音がした。 反射的に振り向いた私の目に映ったのは、ゴボゴボと泡立つガラス器具の中の液体だった。 「ちぇんよ、勇敢な若きゆっくりよ」 逆田の言葉に、私は前へ向き直った。彼はなぜか薄笑いを浮かべて私のちぇんを見ている。 ・・・・・・・・・・・・ 「聞こう。……それは、まりさの帽子かな?」 「ゆ゛っ!?」 不審そうな顔をしたちぇんが、帽子をしばらくぺろぺろと舐めてから、驚愕に目を見張った。 「ゆゆゆ……ゆーっ? まりさのあじがしないよ? これはまりさのぼうしじゃないよ! どうしてなのー? わからないよー!」 「ハハハハハ、すまん、すまんね!」 突然、逆田が笑い出した。私とちぇんは声もなく彼を見守る。 存分に笑い声を上げてから、逆田はハンカチで汗を拭きつつ言った。 「申し訳ない! 実はその帽子はその台と同じく、フェイクなんだ」 「なんだと? じゃあ今までの話はでたらめか!」 「そういうわけではない。フェイクを見せたのは、単に説明を簡単にするためだ」 そう言うと、逆田はまた、元のような薄笑いを――いや、元よりもはるかに粘液質な、ぬらりとした笑いを浮かべて、ささやいた。 「言ってなかったが、私が帽子を手に入れたのは、四年も前だ」 「……四年?」 その意味に私が気づいて、ハッとなったとき、彼は立ち上がった。 「来たまえ」 彼が指差す屋外に、あの大きな倉庫が見えた。 「これが、本物の『まりさの帽子』だ」 倉庫に入った私は、絶句した。 そこにあったのは、見上げんばかりに巨大な三角帽子。 頂点までの距離は私の身長より高く、土間に置かれたつばの差し渡しは六畳間ほどもある。 あっけに取られる私を横目に、逆田はちぇんに声をかけた。 「可愛いちぇん君、確かめたらどうかね」 「ゆっ? ちぇんはゆっくりたしかめるよ!」 ぽいんと飛び降りたちぇんが、帽子のつばをスンスンと少し嗅いだだけで、驚きの声を上げた。 「わかるよーまりさのぼうしだよー! これはいきてるまりさのぼうしだよー!」 「と、いうわけだ」 逆田は肩をすくめる。 「こいつは四年かけてここまでになった。正真正銘の本物だ。 客先まで運ぶのがいささか手間なので、普段はさっきのフェイクを見せているのだよ。 わかってもらえたかね?」 私は無言で帽子に近寄り、地面に膝を突いてつばを持ち上げた。 帽子の下の組み立て式の台には、やはり同心円が描かれていた。 「四年の間にはドラマがあった。 まりさが敵に追い回され、食料にあぶれてやせ細った時期。 まりさが天然の食料ポイントに踏み込み、一気に成長した時期。 これは時期からしてほぼ確実に野いちごの群生を見つけたものと思われる。 そしてまりさが襲撃を受け、瀕死になった時期……」 逆田が芝居がかったそぶりで、コウモリのようにマントを広げた。 「すべてわかる。この『年輪』の詳細な分析によって。樹木と同じようにね」 「それが、貴様と同じような性格破綻者の顧客を喜ばせるというわけか!」 「好きなように言うがいい。それがおまえの目的ならば」 そう告げてから、逆田は鼻先に笑いを浮かべて尋ねた。 「それとも、他に何か目的があるのかね?」 私は無念の思いだった。 まりさが五メートルほどにも育ち、ちぇんがそれを本物だと認定したからには、家捜しなどやっても意味はない。 いくらなんでも、五メートルのまりさを閉じ込めるスペースは、逆田の屋敷にはないからだ。 私は黙ってきびすを返した。 「これの引渡しは来月だ。それまで何度でも来てくれてかまわんよ」 勝ち誇った顔で逆田が言った。 「本物」の見学が終わったあと、逆田はまだこのうえ私を茶に誘った。 打ちひしがれていた私はそれに従った。 逆田は応接所で手ずから茶を淹れなおして、悠然とした態度で話した。 「何度も言っているが、私はゆっくりが好きなのだよ。 決して撲滅したいとか、殲滅したいなどとは思っていない。 愛ゆえに迫りたい、迫るから傷つける。そんな不幸な間柄に過ぎないのさ」 「迷惑な愛だ」 「フフフ、おまえの可愛いちぇん君など、実にそそられるのだがね。 おもてなしするから一晩遊んでいかないかね?」 肩の上のちぇんが、ぶるっと震えて頬に擦り寄った。私は渋面で言い返した。 「きっぱりご免こうむる」 「そうかね、残念だ」 冗談かと思ったら、逆田はすこぶる落胆した様子で首を振った。私はぞっとした。 茶を飲み終わると、彼に尋ねた。 「ところで、なぜお茶なんだね」 「うん? 平凡なダージリンでは口に合わなかったかね?」 「そうじゃない。貴様は最初にコーヒーを沸かしていると言ったじゃないか。 だったらコーヒーを出さなければ、嘘がばれるというものだ」 私は立ち上がり、そばの長机のガラス器具の下にある、小さなビーカーをハンカチで素早くつかんだ。 ・・・・・・・・・・・・ 「これはゆっくりの餡子だな?」 広間の時が止まった。 逆田が呆然としている。 ちぇんが目を丸くしている。 が、私が差し出したビーカーの中身をスンスンと嗅いで、悲鳴のような声を上げた。 「ゆっゆっゆゆ、ゆっくりだよーーーーーーっ!? これはゆっくりのあんこだよ、ゆっくりしてないよ、とってもとってもくるしんでるよー!!」 「まさか目の前で虐待行為を行っているとはな」 私はそう言って、来たときからずっと煮立てられ続けていた褐色の液体を見つめた。 「部屋に入った途端にちぇんが教えてくれたのに、気づきそびれた。 私としたことが迂闊だったよ。 会話の合間にも自ら突沸して知らせてくれていたな。 二度目の突沸でようやく気づいた。家捜ししてくれ、助けてくれと訴えていたんだろう」 私はそう言って、複雑な構造のガラス器具の行方を目で追った。 褐色のねっとりした液体がたっぷりと詰まっている。 帽子の成長を見て妄想できるほどの男だから、あんこだけになったゆっくりを虐待していてもおかしくはない。 「四、五リットルはあるな。二十センチクラスといったところか。ゆっくりれいむか?」 「……知らんね。なんのことやら」 「これはいただいていくぞ。分析すれば何ゆっくりか判別できるだろう」 「ふん、それで気が済むならやればいいさ」 断ることもできるはずだが、逆田はあえて逆らわなかった。その理由は見当がついた。 ここには皮がない。おそらく事前に処分してしまったのだろうが、皮なしのあんこだけを調べても、虐待を立証できる可能性は低い。 せいぜい、このれいむ(だか、まりさだか、それとも他のゆっくりだか)を、安らかに殺してやれるのが関の山だ。 それがわかっているから、逆らわないのだろう。 私としても、これは本当に、一矢を報いたとしか言えない程度の、みじめな反撃だ。 さほど勝ち誇る気分にもなれず、苦い笑みを逆田に向けた。 「あまり私を舐めないほうがいい。いつかきっと貴様のしっぽをつかむ」 「楽しみにしているよ」 座ったままそう言った逆田の秀麗な顔には、憎悪の色が浮いていた。 「ようやく帰ったか」 屋敷の窓から外を見つめて、私はつぶやく。 フロックコートにトップハット、肩にマスコットを乗せた気障な姿が遠ざかっていく。 幡中守、ゆっくり探偵を名乗るあの目障りな男が去って、私は幾分ほっとしている―― と、幡中自身は思っていることだろう。 大間違いだ。奴の節穴のような目など、誰が恐れるか。 スカートスーツの秘書がすべるようにやってきて、耳打ちをくれた。 「N――氏からのお尋ねがございました。例のまりさは、健在かと」 「心配性なお方だ」 人に言えない趣味をお持ちの、さる高貴な方のことを思い出して、私は笑う。 「確かめてみようか。万が一があるといけぬしな」 「はっ」 秘書の呼びかけで広間に部下がやってきた。いっせいにある場所に集まる。 ・・・・・・・・・ それは、暖炉の上の金庫の前だ。 「引き出せ」 「よーいしょおッ!」 黒服らしからぬ大げさな声も故なしとはしない。 それだけの掛け声が必要なほどの重量なのだ。 ゴロゴロと重い音を立てて壁から引き出されたのは、実は金庫ではない。 ステンレスの分厚い耐圧壁に覆われた、高圧ケースだ。 一箇所だけ、頑丈なボルトで閉ざされたサファイアガラスの覗き窓がある。 私は、そこを覗き込む。 「やあ、まりさ、元気かい?」 ダイオウイカの眼球を思わせる巨眼が、ギロギロとこちらをにらんでいる。 無限の悲しみと怒りをたたえて。 「ゆっくりできているかい? うん? そこは絶対安全な場所だからね」 幡中にした説明は、実は、嘘だった。 帽子の持ち主のまりさは、野生で暮らしているわけではないのだ。 「ここ」にいる。縦横高さがおのおの三十五センチの空間に。 無論、普通なら五メートル級のまりさが収まる容積ではない。 だからこのまりさは、膨張しないように五百気圧もの圧力をかけて育てたのだ。 ただ彼女の帽子のみは、最初から外しておいたから、その本来の体積を取ってゆっくりしている。 これが、私が考えた二つの新しい商品。 「主なきおぼうし」と「おぼうしなき不死まりさ」。 お帽子は、先ほど幡中に聞かせたような説明を添えて、虐待客Aに売り渡す。 まりさ本体は、永遠の幽閉を好む別の虐待客Bに売り渡す。 Bは可能な限りまりさを保存してくれるだろうし、そうなっている間はAも風変わりな巨大な帽子を保有することができる。 どちらも困らない。私も困らない。ついでに言えばまりさも安全(水深五千メートルと同じ圧力を受けつつ、だが)。 こういったからくりが見抜けず、ダミーのれいむを暴いた程度で満足しているようでは、あの男もまだまだというものだ。 部下たちが超高圧加圧ポンプにつないだ金属ホースを、ガチャリと容器に接続する。 給餌パイプのバルブを、私は深い愛情を込めて回した。 「まりさよ、ゆっくりしていってね」 ぐるりぐるり、とまりさの眼球が激しく動いた。 不思議生物ゆっくりをたすけ 今日も陰謀を見抜いたぞ 知力体力で正義をつらぬく ゆけ、ぼくらのゆっくり探偵マモル! end. おぼうしが一つだけポツンと置いてあるイメージから書き始めたら、 なぜかこんなわけのわからん話になっちゃった。 YT このSSに感想を付ける
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KONAMIが公式に行っている代理店の大会。 参加費は無料で参加賞としてトーナメントパック(2枚入り)が貰える。 店にもよるが3位以上にはいると順位に応じて多くのパックを貰う事が出来る。
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まる ステージ17で獲得可能。ステージ17は左右に丸い障害物が紐でぶら下がっている。この2つをクロスさせると1万x倍率(点) ぼう 分身アイテムを3個画面に同時に出現することで獲得可能。1万x倍率(点) しかく 爆弾3連鎖
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[モンスター]19枚 《アーマード・スターフィッシュ》3 《ヒトデンチャク》3 《スター・ボーイ》3 《アビス・ソルジャー》3 《豪雨の結界像》3 《ペンギン・ナイトメア》2 《氷帝メビウス》2 [魔法]14枚 《一族の結束》3 《ウォーターワールド》3 《ウォーターハザード》2 《地砕き》1 《ブラック・ホール》1 《死者蘇生》1 《突撃指令》1 《戦線復活の代償》1 《サルベージ》1 [罠]8枚 《鳳翼の爆風》3 《水霊術-「葵」》3 《ダスト・シュート》1 《マインドクラッシュ》1 ■概要 このデッキはCLANNADというゲームに登場する伊吹風子というキャラクターが好きなヒトデを主役にしたデッキです。 基本的な動きは一族の結束、ウォーターワールド、スター・ボーイでヒトデの攻撃力を底上げしゴリョウシします。 ネタデッキですがヒトデ補助以外にハンデス等強力なカードを採用することにより、そこそこ戦えるようにしています。 アビス・ソルジャー、豪雨の結界像、ハンデスがささるデッキには勝ちたいところです。 アビス・ソルジャーを持ってない人は代わりにアトランティスの戦士でも大丈夫です。 ※スーパースターは星なので入れません。 伊吹風子「どうして風子がお星様なんて使わないといけないんでしょうか、わけがわからないです。」 製作者(ヴィルヘルム)
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1-1 3人目直後の二列編隊だけを同時撃破したなら、36160以上にならない。 -- 2013-09-18 22 50 06 2-2 天井スコアを狙う為に、ほぼ敵全員を同時撃破する事が必須。 -- 2013-09-18 22 51 48 3-2 1つ目の分岐が終わる直前、左の遠い場所に3つの宝石があるので、黄緑必須。 -- 2013-09-18 22 57 32 4-3 壁にぶつかって自滅する戦艦を自力破壞する事がかなり難しい。黄緑Lv3×2や紫Lv3を推奨? -- 2013-09-18 23 02 06 2-3の分岐の下にいくときはピンクよりオレンジLV3の方が良い。(進みやすい) -- 2013-09-21 17 10 42 2-3 黒は必須レベルじゃなく、推奨レベルと思う。青・水色で岩竜に近距離攻撃でも速攻で倒す事ができる。 -- 2013-09-27 14 14 57 3-2 1つ目分岐点下ルートのコウモリを確実に全滅する事がちょっと難しい。下手なら連射速度が高い水色Lv3等がないと全滅できない。 -- 2013-09-27 14 20 15 5-1 4つ目のタカラモンドを取得後、画面左の巨大歯車×2の左に一度移動すると、その後で中型艦が登場した時、戦車が1機出現する。 -- 2013-10-09 23 13 44 【アーケードノーマル】分岐について:4-1は下ルート方が良い。3-2はこちらの弾幕が個別ステージより薄くなって、分岐2の上ルートの高速移動敵を全滅する事がほぼ不可能のため、そのまま下ルートで。 -- 2013-10-11 13 39 08 また、4-1のノーチラ5体が出現する分岐点で画面最上部を左右へ移動する だけ で、画面外に存在するらしい上ルートの宝石2個を強引に回収できる。つまり、こちらに黄緑が無くでも良い。しかし終盤の敵達から出した宝石が激流に流れてしまう場合が多いので、やはり黄緑が必要になる。 -- 2013-11-10 13 12 50 2-3ニョロック遺跡、ボス戦時39850いきました。 黒を連れて、出てくる敵は全て倒しました。 -- 2013-11-23 02 49 50 ひとつ確認したいのですが、その時は10人フルでの出撃ではなかったのでは? 仲間の数が少ないと、植物に捕まってるMii(100点)が、宝石(100点×2)に置き換わる場合があるので、 10人フルの出撃時よりも少人数での出撃時の方が、ボス到達時点でのスコアは高くなる可能性があります。 (クリア後の精算時に残った仲間の数に応じた点が入るので帳尻は合う) 10人で出撃して39850点が出たのであれば、未知のボーナスが隠れてる可能性がありますね。 -- 2013-11-23 15 14 16 2-3 三人で出撃したらボス戦時39950点でした -- 2013-11-24 00 08 32 ↓2 なるほど、そうでしたか。 すみません6人で出撃しておりました。 -- 2013-11-24 01 40 36 2-2 タカラモンド3個回収時22700 -- 2013-11-25 12 32 48 5-1 最初の巨大歯車が出るところで金UFOを5体倒した時 18700 -- 2013-11-25 12 33 37 4-3 最初の戦艦の前に泡宝石2個を早く入に手れないと、うち1個がなくなってしまう。参考得点:最初の戦艦を撃破前8750 -- 2013-11-28 02 12 45 ずっと前に誰かが「オレンジ単機で1-1の2列同時撃破は可能なのか」と疑問を呈してた気がするので。 画面右上で武器を下向きにして待ち、自機を徐々に左へ下げながらレーザーを4発発射して ザコを2機ずつ倒す、という方法で達成できた。 -- 2014-01-19 22 43 27 5-3スコア72210点だったー -- 2014-02-23 15 47 58 3-1で52960が出た人が見つかりました。-- 2014-04-08 14 12 33 続き 58360はデマかもしれないが、この52960は本物です。自分の成績じゃないだから、コツは知りません。 -- 2014-04-08 14 17 43 3-1で51959点出せました。 タカラモンド5つ・全滅は基本として、1回だけ棺桶を紫の溜め攻撃で倒しました。 心なしか出てきた宝石が多かったような…。 -- 2014-05-22 21 24 34 1-1で37050点いった!! -- 2014-06-24 17 51 53 37050点というスコアからして、クリアできず道中で全滅したということですね。 つまり少なくとも、ボス撃破分&仲間10人分の得点を更に上乗せ可能であると。 本当ならものすごい発見ですね。詳細など分かりましたら続報をお待ちしています。 -- 2014-06-29 00 42 37 すれちがいシューティング 4-3 5つ目(黒Lv.3と橙Lv.3) -- 2015-03-29 10 52 07 すれちがいシューティング 4-3 5つ目(黒Lv.3は左下と橙Lv.3は上右) -- 2015-04-03 17 19 52 すれちがいシューティング 5-1 1つ目(水色Lv.3) -- 2015-04-17 16 16 18 •4月2日(多分)のアップデートで漫才デモをBボタン押しで省略出来るようになった -- 2015-04-23 00 45 26 すれちがいシューティング 5-1 1人(水色)、2人(青)、3人(白) -- 2016-02-07 08 08 57 3-1の棺桶を紫でためて一撃すると宝石が増えることが確認しました。つまり紫は必須のこと。 -- 2016-10-12 16 44 36 宮原大志JH21長津田パーク駅 -- 2020-01-16 00 48 36 4-1のタカラモンドについてですが、最後に画面中央で回る1隊を除いたすべてを撃破と書いてありますけど、中央で回る1隊は撃破しなくてもいいのかな? -- 2022-09-29 23 09 12 はい、その場面で中央で回る1隊はタカラモンド出現には関係ないので撃破しなくてもいいです。ただ、あえて撃破しない理由もないのでもちろん撃破してしまってもいいです。 -- 2022-11-13 03 39 09 (タカラモンド全獲得しつつロースコア狙いとか特殊な縛りプレイに挑むのでもない限りは) -- 2022-11-13 03 40 58